第十三回 コーショーのちょっと美味しい話★
〔牌春の季節〕
プロ野球が開幕しました。
広島に黒田投手が<男気>の復活を果たし、球界全体に活気がみなぎるシーズンとなりそうですが、試算によると、広島カープには50億強の経済効果がもたらされるそうです。
黒田投手自身は、恐らく十数億のマイナス家計となるにもかかわらず、損得勘定抜きの決断をした<男気>に日本中が拍手喝采を送っています。
情熱大陸という番組で黒田投手は、「若い人たちに自分の経験してきたことを伝えていきたい」という主旨の話をしていました。
「日本で果して通用するものなのか？楽しみより不安のほうが大きい」と真顔で話していたその姿に、超一流プロの本質が映し出され、深い感銘を受けました。
功なり名を遂げた超一流選手が、また一からやり直す決意をし、「正直、この歳だからしんどい」と吐露する誠実な姿に、翻って我が身を顧みれば、情けないことこのうえなく、弛みきったネジを巻き直さなければと思うばかりのこのごろです。
とはいえ、三日坊主の権化のような我が身ゆえ、果して巻き直せるものなのか、一心不乱に負荷をかけられるものなのか、若い人たちの気持ちを動かせるものなのか、甚だ疑問ではあります。
麻雀プロ界にも《牌春》の声が聴こえ始め、プロたちは「今年こそ！」と決意も新たにリーグ戦会場に入っていくのです。
開幕戦を大敗し、「えっ？今年もそっちの世界なの？」と揶揄する声が数多く耳に入ってきますが、現実はそのまま受けとめなければならぬ身ゆえ、ダハマに2つの目を入れられる日が来るまで、ひたすら身を低くするしかありません。
「楽しみより不安のほうが大きい」
黒田投手のこの言葉を噛み締めながら、《臥薪嘗胆》の日々は続いていくのです。
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