第二十回 コーショーのちょっと美味しい話★
<プレーの速さ>
全米オープンゴルフが終わりました。
J・スピースが4月のマスターズに続いてメジャータイトルの2冠目を制し、年間グランドスラムの偉業も夢ではない大きな一歩を踏み出しました。
スピース21才、世界ランク2位、対して日本の松山英樹23才、世界ランク14位と、そんなに差のないライバル関係に見立てる日本のマスコミもありますが、欧米のマスコミの眼からは、かなりの開きがあると見られています。
それはパッティングの差に歴然と表れています。
ゴルフライターのマック金井氏の分析はこうです。
「ショートパットを打つ時、スピースはアドレス後、ボールではなくカップを見たままストロークしている。目標に意識を集中することができるし、ボールを凝視しない方が、手の動きがスムーズになる。これは、プレッシャーがかかった場面でも、インパクトが緩みにくいメリットもある。」
更にこう加えています。
「大事なパットは時間をかけて《慎重に打った方がいい》という考え方をする日本のプロも多いが、時間をかけるほどに筋肉が緊張し、手がスムーズに動きづらくなることも事実。スピースのように《構えたらサクッと打つ》というほうが手がスムーズに動かせるし、時間をかけないほうがプレッシャーもかかりづらくなる」と分析しています。
J・スピースは、構えたら0.5秒くらいでテークバックが始動と、リズムが速いのに、松山の場合はテークバックの始動まで4秒前後かかっていました。
データにも2人の差が出ていて、スピースの平均パット数〔27.55〕は米ツアーランク1位。対する松山は〔28.70〕で同71位となっています。
松山はフェアウエーキープ率も高く、欧米の一流プロに伍してもヒケをとらぬレベルにあるのでしょが、メジャータイトルを獲るためには、J・スピースの判断力の速さは参考にしてもよいのではないでしょうか。
ツモ ドラ
8巡目、マンガンが狙えそうなイーシャンテン手牌だった南家は、親リーチを打たれた直後にドラ表示牌の を摑み長考に入りました。
親の河は、
(リーチ)
安全牌の を切ってしまうとリャンシャンテンに戻ってしまいますから、 のスジの を切ろうか、目をつぶって自分のアガりに真っすぐ進む をツモ切りしようか…親リーに一発でフリコミたくないし…考えれば考えるほど、自分を守る気持ちが強くなっていく〔心の揺れ〕を感じて…
結局…現物の を選択する打ち手。
もしJ・スピースが麻雀プロだったら…、恐らく0.5秒の決断で か を切っていたはずです。
と 、どちらかロンされる可能性はありますが、どちらもロンされない可能性だってあります。
考えて考えて正解が出てくるゲームではないところが、ゴルフや麻雀の魅力だと思っています。
だからこそ、決断の速さは一流への条件のように思えてなりません。
だって人間は弱い生きもの。
決断に時間をかければかけるほど気弱になったり、間違えたりしてしまいますから。
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