第二十四回 コーショーのちょっと美味しい話★
<最後の夢>
ふと思いました。
60を過ぎて、公式競技から身を引いて、今のような全国を飛び回る活動も縮小しなければならなくなったら…(正確に言えば、お声がかからなくなったら)…、小さなマージャン屋さん、開いてみたいなあ。
お店の名前は『雀屋』
そのお店には手積みの卓を2台ほど置いておくんです。
昔々、私が中学に上がる頃でしたか、家では象牙の牌を使って遊んでました。
当時はそう珍しい話ではなくて、象牙牌もピンキリで出回っていましたし、大事に扱わないとすぐに牌が傷んでしまうので、専門の修繕屋さんもあったほどです。
「シャラ シャラ シャラ」
美しい音色にうっとりとしながら牌を混ぜた記憶が鮮明に蘇ってきます。
雀たちが楽しそうに踊り歌う様を模写して名づけられたゲームそのものが味わえる醍醐味を再現できたら…最高!
あとの2台は全自動で、残りの1台は…、きっとその頃には出回ってるはずの牌を使わない卓。
初級者の方に優しい卓なんです。
「取りづらいから、もう少し山を前に出して」、「ほら、新しいドラをめくって」、「何点なの?」等々、楽しく遊ぶはずのゲームが台無しになってしまうプレッシャー。
この様々なプレッシャーから解放してくれる魔法の台が登場してるはずなんです。
液晶画面のタッチパネルを軽くタッチするだけで、スイスイとゲームが進行し、煩わしい点数計算も点棒のやりとりも一切不要。
そうなんです。
いま皆さんが遊んでいるネットやモバイルゲームのリアル版が登場しているんです。
ルールはどうしようかなあ。
ワクワク・ドキドキするルールの卓もあれば、こってり・じっくり味わえるルールの卓もあれば、役をそんなに知らなくても遊べるルールの卓も作っちゃおうカナ。
だって、ぜんぶ『雀屋』のオヤジたる私が決められるんですから、それはそれは楽しくて嬉しくて笑いが止まりません。
卓によってコンセプトが違う、小さなお店ならではの利点が生かせる自由度の高い『雀屋』のオヤジになってみたいなあ。
そんなんで採算が合うのかな?
う~ん………
1度でも訪れたお客様を『とりこ』にするお店。あったかくて居心地のいいお店。お客様同士がいつのまにか古くからの友人だったように思えるお店。トイレのキレイなお店。ごはんの美味しいお店。いつも笑いの絶えないお店。
う~ん………
想像は尽きないけれど、いつの日か実現できたら…、私の最後の『夢』かなあ。
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