2023年1月15日(日)~卓上から宇宙をみる~78
〔実録:字一色〕
南1局 北家、こんな手がやってきました。
ドラ
北家は東場で少し失点していましたが、牌勢にカゲリを感じるほどではありませんでした。
5巡目のこの手牌にツモってきた牌は 。
は3巡目に南家が切っていたものの、他の字牌はオール生牌でした。
他家の河を眺めても
[東家]
[南家]
[西家]
ごくごく平凡な、ピンフ系の河になっていて、字牌をトイツ以上で抱えているようには見えませんでした。
打 。
北家の狙いは小四喜と字一色、それが叶わなくても、混一・チャンタ・3役のハネ満テンパイくらいはいけるだろう、そんな感覚での 切りでした。
混一・2役は十分見込める手牌であることと、南場を迎えて(南1局)マイナス状況であることを踏まえれば、小四喜狙いを幾らかでも感じさせない意味を含めて、 をツモ切りするほうが安全そうに見えました。
ただし、ハタで見ているとヒヤヒヤする選択でも、卓に座っている当人にしてみれば、全身に響く波動のようなものがあって、結果、うまくいくことのほうが多いようです。
7巡目、 が暗刻になって手牌はこうなりました。
9巡目、ツモ 。
さすがにここは 切りかと思いきや、打ち手の選択は
切り。
ヌヌヌ、そこまでするのか?
小四喜の可能性は残るし、 が暗刻にでもなれば、1枚切れの
タンキで
ツモれば3倍満の超大物手。
仮に ポンでもハネ満の仕上がりとなり、打ち手の置かれている状況からは、充分すぎるほどのアガリになるはずでした。
すると次巡ツモってきた牌は恐ろしいことに生牌の でした。
そして次巡、 がポンできて、打ち手の手牌はこうなりました。
ポン
ただ、打ち手の河は異様なものになっていて、 が鳴ける状況にはありませんでした。
[北家]
この時点で、まだ は1枚切れ、
と
は生牌でしたから、他家もこの北家を、マークして引き気味に打っていたようにも見えました。
12巡目、北家のツモは 。
打 。
次巡、4枚目の をツモ切り、14巡目にツモ
。
打 。
ポン
12巡目に生牌の を手出しし、13巡目に生牌の
をツモ切りした北家が14巡目に
を手出し。
この高等テクニックの前に、親は16巡目にテンパイを果して押さえていた1枚切れの をフワっと切ってしまいました。
字牌の種類を数えれば、小四喜も字一色も消去できるので(まさかの カンツ切り)、ロンと言われても、マンガンくらいだろうと考えた親を責めるのは、あまりにも酷でした。
と
の手出しの順番に秘められたワナ。
ノンフィクションでお届けいたしました。
※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより
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