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2024年5月1日(水)~卓上から宇宙をみる~109

〔対局番組への希望〕

その昔、<ヘッドホン麻雀>なる企画が専門誌等でもてはやされた時代がありました。
プロの打ち手が、4人ともヘッドホンをして、そのヘッドホンに音楽を流し、卓上での会話が聞こえない状態にして対局するという興味をそそる企画でした。
<音>がシャットアウトされるため、対局者はずっと自分の思考を話し続けられ、それを観戦者が聴きながら麻雀を楽しめるという一石二鳥の面白さがありました。

最近は対局番組が一気に増え、どの番組を観ても、似たりよったり、打ち手の個性が強いか、実況席の個性が強いかしかないと、番組を初めから終わりまで視聴することは苦痛に近いものがあるようです。
苦痛というか飽きがくるというか、そういった思いに陥るひとつの要因として、打ち手の長考(中考も含む)があるようです。

大リーグ(野球)の新ルールとして、敬遠は申告するだけで認められるという画期的な導入がありました。
4球続けてボール球を投げさせるという、敬遠の常識を覆し、1球も投げずに一塁へ歩けるというルールは<時短>を目的として生まれたものです。
専門的には、敬遠球を(失投も含めて)ヒットにするのも野球の醍醐味ゆえ、その楽しみを奪うのはいかがなものか?という意見も当然の如く出たであろうことは想像に難くありませんが、<時短>が優先されました。
野球に限らず、スポーツであれショーであれ、エンターテイメントに関わる者は、観客の目線に立ったサービスを考えていくことが最優先事項だということを改めて実感させられました。

遡って対局映像の世界においても、<時短>は視聴者へのサービスとして考えられるべき課題なのではないでしょうか。
私は『われめDEポン』という番組のレギュラー解説をさせていただいてます。
ルールが東風戦というスリリングさから、放送時間の6時間が、アッという間に過ぎていく感覚になりやすく、番組終了後の疲労感が他の番組より軽いものがあります。
だいたい8ゲームぐらい行われますから、1ゲーム当たり40分かかっていない勘定になります。

プロの対局番組は、1ゲーム当たり、速い番組で60分くらい、遅い番組になると90分以上かかったりしています。
連荘が多くて時間がかかるならまだしも、長考(中考)が多くて時間がかかると、観ている側の集中力は途絶え、やがて疲労感は溜まっていき、爽快感の残らない視聴となってしまいます。
もし、技術的に可能ならば、長考(中考)しているときの打ち手の思考がストレートに伝わる番組があったら、視聴者は飛びつくのではないでしょうか。
「とうしてこんなところで止まるのか?」というストレス解消のためにも、打ち手が長考(中考)する理由を知ることができれば、その打ち手への評価も定まるでしょうし、番組への評価も高まるような気がします。

<時短>を踏まえないエンターテイメントは発展しないし、ファンの開拓もままならないと思います。
それこそ、竹書房の主催している『麻雀最強戦』のような1ゲーム勝負の戦いのほうが、視聴者を飽きさせない作りになっている可能性があります。
プロの打ち手目線にとどまらず、視聴者目線、ファン目線に立った番組作りをしていかないと、ヒット商品はなかなか生まれないと思いますが、いかがなものでしょうか。

※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより


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