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2020年12月15日(火)~卓上から宇宙をみる~㉘

2020年12月15日(火)~卓上から宇宙をみる~㉘

〔打ち手の品格〕…考察⑫

その16 <ラス目の姿勢>②

品格ある打ち手は、<結果>ではなく、<経過>を重んじる、という話には前回でも触れました。
<経過>は<ふるまい>と置き換えたほうがわかりやすいのですが、とくに<ラス目>の<ふるまい>には相当な覚悟が必要となります。
覚悟には<悟>という字が含まれているように、<トップ>逆転が現実的に不可能だったり、自身が<トップ>争いに参加できない明確な過程があったとき、そのゲームの勝負に敗れたことを<悟る>べきなのです。
もしかしたら…とか、あわよくば…とか、マージャンだから何が起こるかわからないという方便を使って、一縷の望みを託す打ち手も多いのですが、それは<麻雀>という高貴なゲームを自らおとしめる行為につながってしまうことを忘れてはいけません。

ラス前やオーラスになって、接戦ではない<ラス目>に甘んじる状況に陥ったならば、いつにも増して<集中力>を発揮し、アガりに向かうという<我欲>を放棄し、ただひたすら、上位争いに水を差さぬよう配慮して打つのが理想だと言えます。

ラス前3巡目・ドラ中:麻雀王国・▲16000

四萬:麻雀王国四萬:麻雀王国六萬:麻雀王国八萬:麻雀王国八萬:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国七筒:麻雀王国二索:麻雀王国四索:麻雀王国六索:麻雀王国七索:麻雀王国中:麻雀王国  ツモ南:麻雀王国

さてここから何を切ればいいでしょうか?

南:麻雀王国中:麻雀王国ともに生牌です。

南:麻雀王国をツモ切りする打ち手は、<我欲>を殺せず、<覚悟>の持てないごくごく普通の打ち手でしょう。
八萬:麻雀王国七筒:麻雀王国を切って、678の三色形を作りにいく打ち手は、それなりの<美学>があるロマンチストですが、まだ<覚悟>の足りない上級一歩手前の打ち手です。何を思ったか、今のうちに!とばかりに、南:麻雀王国をツモってドラの中:麻雀王国を手放すような打ち手は、<自己顕示欲>の強いワガママで品格のない打ち手であるといえましょう。

では品格ある打ち手は何を切るのでしょうか?

六索:麻雀王国六筒:麻雀王国六萬:麻雀王国と、3種の6を並べ切りし、ちょっと怖いけれど一時的にトイツ手組みにしていきます。

もちろん、<受け>が大前提なので、場に影響を与えたり参考になったりする牌を打ち出さないことが必定となります。
そういう目的で打っていても、時として途中ドラの中:麻雀王国が重なったりすることもあり、七対子のイーシャンテンやテンパイになることさえありますが、そこで<我欲>を浮き上がらせてはなりません。
リーチをかけてツモればハネ満、裏ドラが乗れば倍満になり、マイナスが一気に解消し、トップ逆転の可能性を秘めてオーラスを迎えることができますが、それは身の程知らずも甚だしいワガママな希望なのです。
「やってみなければわからないし、その可能性にチャレンジするところが麻雀を打つ醍醐味なのでは」という考え方もあるでしょう。
でもそれは、東1局~南2局に至るまでつつがなく過ごしてきた<ラス目>の主張であれば私も合点がいきます。
南3局までの道中、あれやこれやのミスを重ねて<ラス目>にいるならば、やはりその経過に対して責任をとる姿勢が品格ある打ち手には求められているのです。
少しても傷を浅く終わらせたいと思う気持ちはよくわかりますが、品格ある打ち手を目指すのであれば、<我欲>を棄てるという意識を持つことがいかに大切であるかを自覚する必要があるのです。

※本文は東京麻雀アカデミー(雀友倶楽部)より


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