2021年6月15日(火)~卓上から宇宙をみる~㊵
~卓上から宇宙をみる~㊵
〔敗北の認識〕
東1局からオーラスまで、1局1局懸命に打つことは良いことなのですが、劣勢に陥ったとき、客観的に自分の状態を測るもうひとりの自分を登場させることも、〔品格ある打ち手〕には求められます。
南2局、北家に座っているアナタに次のような手が入りました、5巡目のことです。
ツモ ドラ
北家のアナタは東場での失点がたたり、マイナス1万6千点のラス目に甘んじていますが、3番手の南家とは9千点、2番手の親とは1万5千点の差です。
も も生牌です。
ツモ 、さてアナタは何を切り、この局をどんなふうに打ち進めていきますか?
と 、この2つの字牌を軽く見るのか重く見るのか、打ち手の品格が問われるところだと思います。
もう一度手牌を見てみましょう。
ツモ ドラ
この手牌の急所は、 と です。
もちろんドラの も欲しい牌ではありますが、<>というターツだけ抽出すると、三色部分に関連しないターツであり、ドラの が入らなくても、牌理的に入りやすい 受けなので、急所にはなりません。
劣勢に陥っているときは、手牌の急所が何ヶ所あるのかチェックし、6巡も経って4ヶ所もあるようなら和了は諦め<受け>に徹するべきでしょう。
私などは、急所が3ヶ所あっただけで、『ムリムリ』と手仕舞いしてしまいます。
先に挙げた北家の手牌の急所は と の2ヶ所で、ツモ は向聴数こそ進むものの、ダラリとした進行にしか見えず、果して生牌の や を切り出していっていいものか、大いなる疑問が湧いてきます。
また、親番が残されていないうえに、マイナス1万6千点というビハインドを背負った北家。
今局を含めて残り3局、どんなふうに戦っていけばいいのか、〔品格ある打ち手〕としての姿勢はいかに?といことも踏まえれば、生牌の や に手がかけられないのではないでしょうか。
や がポンされるかどうかわからないのに、どうして留めおく必要があるのか?という疑問を抱く人もいるでしょうが、 や を鳴かれるとか鳴かれないとかの問題ではないのです。
劣勢に立たされたときの<姿勢>が問題とされるわけで、アナタが<場>を動かしていいのか?<場>を動かす身分なのか?と考えたとき、おのずと答えは出てくるはずです。
〔敗北の認識〕が出来る打ち手は相当な力量の持ち主です。
『あ、負けたかな』と思ってしまうと、打ち方も淡白になりがちですが、〔品格ある打ち手〕は〔敗北の認識〕をした局から、それまでの局以上に集中力を増して、<場>を動かさないように打っていくのです。
ツモ ドラ
ここからの1打は、 、あるいは がいいでしょう。
この後、1巡増すごとに、ドラそばの は河に出せない状況になるので、もし切りたいのであれば今かなと考えることも大切です。
※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)のテキストより
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