2021年12月15日(水)~卓上から宇宙をみる~52
~卓上から宇宙をみる~52
〔ヘタレ逆流打法〕
Aリーグ第3節の最終ゲームで、次のような局面に出会いました。
南1局北家8巡目、▲7000点ほどの私は をポンしました。
ポン
を右隅に晒しながらの1秒ほどの間、 を打牌に選ばず、 を切ろうかなと思いましたが、場に1枚切れの がすぐに出てくることもあるので自重しました。
を先に離してしまうと、5200点がほぼ確定する手になるので、 ポンのマンガンコースを否定することはないだろうと多くの打ち手は考えます。
切りになんの違和感ももたないのは当然の話なのかもしれません。
でも、自身の調子(デキ)に違和感を覚えるとき、私は敢えて違和感のある打牌選択をすることがあります。
たとえば次の手牌。
ドラ
この手牌に を引いたのが7巡目。
いつもであれば特上コースの一発ツモをイメージして、喜び勇んで 切りリーチをかける私ですが、違和感を全身で感じているときは、 切りのヤミテンに構えます。
『もし裏目を引いて 切りでヤミテンにしていれば、ポロっと が出ることもあるし、悪くても はヒットできるのでは?』という疑問の声が挙がるのは当然の話でしょう。
それでも を打つにはそれなりの理由と覚悟があります。
俗に《逆流打法》と呼ばれるもので、普段の打ち方(基本的な打ち方)の逆をいく打ち方をすることにより、チグハグなツモや相手との間合いを正常化させる《特効薬》としての効能を期待するのです。
タンピン三色ドラ1が目前に迫っている手牌を崩すテンパイどりには、不安がつきまとうものですが、私の長いキャリアの中では、失敗より成功体験のほうがはるかに多いので、皆さんも是非試されてみてはいかがでしょうか。
この《逆流打法》はメンゼン手に限らず、仕掛け手にも応用できます。
違和感のある状況では、心も弱ってきてますから、なかなか思いきった手は打てなくなるものです。
ポン
ここから ではなく、 もしくは を先に打てるような強さがなければ、半端な状況から抜け出せるとは思えません。
《逆流打法》の基本は、安く安くが合言葉ですから、北家の を鳴いてマンガンにしょうなどと考えてはいけなかったのです。
を切らずに ポンで を切っておけば、相手の読みの中心にあった〔ホンイツ〕から〔トイトイ〕へ守備範囲が広がったはずなのです。(なぜなら より後に生牌の が手出しされるので)
結局実戦では、すぐに が埋まり、 を切らずに を切ってシャンポンに受けた私。
ポン
・ に受けなかったのは、 でマンガンになるからという理由ではなく、違和感のある局面で《逆流打法》を使ったつもりでの打 。
これぞ勘違い(適用間違い)の典型で、テンパイの段になってからではなく、イーシャンテンの段階で、1ハン落とす《逆流打法》を守って 切りとしておけば、恐らく で5200点を仕留められていたはずなのです。
『いったいオマエは何年打ってきたんだ!?』
神様に笑われる一打をまた打ってしまった私につけるクスリはあるのでしょうか??…
※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより
≫卓上から宇宙をみる一覧