2022年2月15日(火)~卓上から宇宙をみる~56
~卓上から宇宙をみる~56
〔選択の基準〕
打ち手は常に選択を迫られています。
「パスさせて!」といいたくなる時もあるけれど、1打たりとも弛みは許されず、自分の中で最善と思われる選択を繰り返していかなければなりません。
だから、その選択を間違ってしまうことも結構あります。
というか、間違えずに打ち続けることなんて不可能なのだから、間違えた1打をクヨクヨ考えても仕方ありません。
でも…重大な間違いを犯してしまったような気に陥り、局の途中で、或いは次局の真っ最中に反省会を始めることがあります。
先日こんな手牌に出食わしました。
ドラ
南2局の親、7巡目を過ぎようとしていた私は、1万点ほど沈んでいることも手伝って、『そろそろリーチがかかって手詰まりになってしまうかも…』とか『選択ミスしそう…』というマイナス思考が過っていました。
次巡 を引き、ドラ色を伸ばすのは?と思い を切ると、その2巡後に を引いてイーシャンテンになりました。
ドラ
場にはピンズがバカ安だったこともあり、 が雀頭になるのも悪くないなと、数巡前までの不安感はどこへやら、リズムよく に手をかける私。
すると次巡ドラの が手元に…
『ウッ…』想定外のツモに私はハタと手が止まってしまいました。
ドラ
ピンズの 待ちが美味しいリャンメンなので、早くアタマが出来ないかなと思っていた矢先のドラ 引き。
がフリテンでなければ、ノータイムで を切るところ( 切りが常道であるのは百も承知していましたが、場に安いピンズに寄せ切ってしまいたい気持ちが充満していて)でしたが、迷いに迷った挙句、〔テンパイ効率〕に頼って打 としました。
今こうして書いていても、なんともはや、気持ちがグラングラン揺れていて、1万点沈んでいる打ち手が繰り出さなければならない〔逆流打ち〕の[ギ]の字も感じられない、ただ大事に打とうとする情けなさと弱さが垣間見える選択になっています。
次巡、皮肉にも を引いてきて更に悩みが深まる私。
ドラ
『ウ~ン…??…』
いったいいつからこんなに脳の回転が鈍くなってしまったのだろうか?
1打1打、フラフラになるくらい脳ミソが何百グラムも足りない状態が続いていました。
シャキッとしない思考では、良い選択など出来ようはずもなく、『上家から が出てきたらチーできるし…』みたいな思考逃避の1打、 のツモ切りを選択する私。
麻雀の神様っているの?
『ウン、いるよ!』と自信を持って言えるツモ が次巡やってくるに至って私は自分の築き上げてきたはずのキャリアの薄っぺらさに辟易しました。
そしてこの をツモ切れずに今度は を切って、一見すると盤石のイーシャンテに映る最悪の手牌に仕立てる愚か者。
ドラ
賢明な皆様なら、次のツモがであったことはお見通しのはず。
ドラ
この段階で、場に安いフィニッシュになればいいと願っていた というリャンメンを外していく〔逆流打ち〕に踏み込める麻雀脳と勇気さえ持てていれば…
打 、打 、次巡ツモ で和了をモノにできていたのです。
打牌選択の基準は大まかに言ってしまえば次の3つに集約されます。
① 効率
② 場況
③ 持ち点
この3つを計りにかけながら、1打1打の選択をしていくわけですが最も大切なことは打ち手の〔心〕の状態であり、どれくらい〔客観的〕に自分を見つめることが出来るのか?
そこに尽きると私は思います。
※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)のテキストより
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