2023年3月15日(水)~卓上から宇宙をみる~82
〔三色の夢〕
ドラ
東4局南家5巡目の手牌である。
南家は前々局に勝負手で親リーチに挑み、7700を放銃していた。
一見好形に映るこの手牌も、どんなツモが来るものかまったく予断を許さぬ3シャンテン形。
南家はソロリと山に手を伸ばした。
、なんとも云えぬ感触。
リャンシャンテンに進行したものの、選択の幅は意外に広かった。
123と234の三色が見える形ゆえ、を雀頭に固定して
を放しておく手が三色好きの南家には魅力的に映った。
を打っておけば、123・234の両ニラミが利くように見えるからだ。
ただし、この手牌、ドラ が入った時のマンズ三メン形の魅力も抗しがたいものがあるのも事実だった。
無難に打つなら 切りか・・・
7700の痛手もあり、ここは<和了>優先に効率的に打ち、ドラ ツモへの期待を抱いてみるか・・・
南家は少考した。
打 。
傷は負ったものの、まだ東場、自分の描きたい最終形に向かっての一歩を南家は選択したのだった。
南家は自身の打ち方に埋没していくような打ち手ではなかった。
日頃から、置かれた状況に合わせ、できるかぎり身の丈に合わせた手筋を選択し、我を強く押し出すようなことはしなかった。
それでも、今局に関しては、夢と希望にあふれる東場の特性をフルに生かしたい気持ちを優先したのだった。
7巡目、南家は を引いてきた。
ドラ
さあ困った。
場を見渡せば、 が1枚、
は生牌という状況だった。
ドラ との振り替えもあって、234の三色を狙って
と
を切っていく選択が正しいように思えたが…
待てよ。
切りもあるのか…
を打って123の三色に決めておけば、ドラの
を引いてきても、
を外していける手順が生まれ
ドラ
こんな最終形も想定内となるのではないか
ドラより先に や
、
が引ければ
ドラ
こんな形で即リーチが打てることになり、123の三色限定で見れば、 切りは悪くない選択に思えた。
南家は少考した。
打 。
ドラ
そして9巡目、 を引いてテンパイし、
で出アガリする気のないヤミテンに構えたのだった。
ドラ
次巡、ドラの をツモ切りする南家。
7巡目に を切ったとき、いずれ引いてくるであろう
をツモ切りする腹をくくっていた南家。
と振り替えてリーチしてもよいのではないか?という雑音を封じ、あくまでも自身の信念に寄り添って打つ南家。
11巡目、「ツモ」と透きとおった南家の声が卓内に響いた。
「400・700です」
南家の手牌の右端に置かれた が美しく光っていた。
※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより
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