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2025年11月1日(土)~卓上から宇宙をみる~145

〔プロの抑止力〕

Aさんが次の手をロンしました。

三萬:麻雀王国三萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬:麻雀王国三筒:麻雀王国三筒:麻雀王国三筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国三索:麻雀王国三索:麻雀王国三索:麻雀王国 ドラ 三索:麻雀王国

ロン牌は 六萬:麻雀王国 でした。
Aさんは、そのグループに入って2年目のキャリアで、ゆっくり数えれば点数計算も出来る中級に近づいている人でした。
上家のBさんが放銃したのですが、そのグループはベテランのCさんがトイメンに座っていて、「あ、タンヤオドラ3ね、マンガンマンガン」とお決まりの世話を焼きAさんは8千点を貰っていました。
手牌を進行させているときには〈三色同刻〉という珍しい役も意識していたAさんでしたが、ドラの 三索:麻雀王国 が3枚になってテンパイした直後にBさんが 六萬:麻雀王国 を切ってくれたので、Cさんに云われるがまま、嬉しさを噛み殺しながら8千点を点箱にしまっていました。
放銃したBさんも、マンガン放銃というアクシデントに見舞われたため、Aさんの手牌をよく見ぬまま、ベテランの指示に従って8千点を支払っていました。

点数申告は自分でするものと、いつの日からかの教えを忠実に守っている人も多く、申告ミスしてるのになと思いつつも、それが過少申告であればそのままに。
見て見ぬフリをしています。
ところが、過大申告をすると、途端に声を荒げて「違うよ!」と口走り、修正した点数をサポートする作業に入らせるのです。
私も若いころはそうでした。
プロになってからは、さすがに愛好者の申告ミスは、それが過少申告であれ、修正した点数をサポートするようになりましたが、プロ同士の対局では意地悪にも口を閉じていました。

50代になってからでしょうか。
点数申告はもちろんのこと、少牌やドラの開け間違いが起こりそうになると、必ず口を開き、正規な対局進行に傷が付かぬよう、心がけるようになりました。
プロ同士なんだから、自分のミスは自分で償うべきだという考えも一理あります。
でも、いつか我が身にも降りかかる出来事を他人事として何らかのペナルティを課すことに抵抗をを覚えてしまったんです。

すべては対局の一部であるから、自己責任で行うべきことなのかもしれませんが、気が付いたら未然に防ぐことにもプロとしての仕事なのではないか?私はそう思うのです。
Mリーグに限らず、プロたちが活躍できるエンタメの世界、タイトル戦の世界での配信番組は増え続けることでしょう。
そんななか、視聴者が観ている前で、申告ミスや少牌・多牌が起きて、ゲームが歪んでいく映像を流していいものなのか?
未然に防げぬチョンボは仕方ありません。
たとえば、ノーテンリーチ。
これは流局時に発覚するものですから、未然に防ぎようがありません。
でも、フリテンのロンはどうでしょう。
倒牌する前に気がつけばチョンボにはならず、アガリ放棄で済むわけですから、気が付いた対局相手が未然に防ぐことも可能なケースも多いはずなのです。

プロも愛好者も目先の損得判断で、対局中に何らかのペナルティを意図的に課すダンマリ戦略は控えるべきでしょう。
良い子でいようという発想ではなく、正々堂々と対局したい、ただそれだけです。
人間は予期せぬときにミスを犯します。
だからこそ、運命共同体でいたいものです。

※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより


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