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2020年8月1日(土)~卓上から宇宙をみる~⑲

~卓上から宇宙をみる~⑲

「私の心根」

私は<麻雀>を愛しています。

大袈裟に聴こえてしまうかもしれませんが、34種類136枚の牌たちはもちろんのこと、対局していただける3人の方、そして私と同じように<麻雀>が大好きな方、更には<麻雀>を観ることが大好きな方、その他大勢<麻雀>を大切にされている方々を愛してやみません。
こんな気持ちを吐露すると、「なにカッコつけてるんだよ」とか「そんな軽々しい愛なんて信用できない」とか、ストレートに受けとめられない方々が大勢いることは承知しています。
そして愛することの難しさも理解しているつもりです。

プロになって30年余り、青々としていた時代もありました。
打ち手としてはむろんのこと、人としても未熟の極みを走っていた時代。
いまふり返れば、恥しくて穴があったら入りたい不様な私がそこにはいました。
打っている最中、何かの拍子に苛々し始め、相手が打牌するたびに首をかしげたりため息をついたり、自分がツモるときも妙な間をとって盲牌に時間をかけたり、打牌はいつも感情的で強打なんて普通でした。
時には自分の気に入らない選択をした人を睨み付けたりする、いま思えば下の下もいいところ、最低な打ち手でした。
30余年の中で、すべて改善されたかと云うとそうでもなく、いまだ未熟なところが解消されず、苛々しながら打ってしまうこともあって、恥しいかぎりです。

今期から最高位戦のB1リーグから身を退いた理由も、そんな自分の未熟さに嫌気がさしたというところが大部分です。
最高位戦の対局マナーは、トップリーグの映像が流れていることもあり、愛好者の方々の範とされていて、リーグ戦を打っていても実に気持ちのいいものです。
ところが、長年滲みついた悪癖と言いましょうか、守らなければならないマナー、たとえばツモ動作に入るのが早かったり、積み場があるときの副露方法が間違っていたり、リーチのかけ方に誤りがあったりと。
それはそれはもう目を覆いたくなるシーンが私の所作に続出してしまうのです。
あまりにも酷いと、立会人の注意を受けるのですが、私の相手をしている対局者にとっては、戦局とは別のことに気をとられかねない現実がそこにはありました。

自分が愛すればいいというのは、一歩間違えるとただの我が儘になりかねません。
人に愛されるためには、牌たちにも愛されるためには、と考えたとき、できうる限り自分の<我欲>を棄てていかなければ…ここ数年そんなふうに考えるようになりました。
そこで何かを得ようとすると、そこには愛は存在しません。
ただただひたすら、相手を想う、牌たちを想う、そんな生きかたをしていけたら幸せだろうなと考えながら打っています。
<邪心>を持つと、瞬間喜びを得ることはありますが、最終的には自分も周りも不幸になってしまいますから、対局でも日常でも、その気持ちは排しています。

青から赤赤から黄へと私の人生は移りかわりました。
牌たちはいつも私を見ています。
偽りがあればすぐに見抜かれてしまいます。
技術面の未熟さは、ここまで時代が進むと改善の余地はほとんどありませんが、精神面はまだ正していけるかなと思っています。
そして麻雀への<愛>。
対価を求めることなく、また自分と卓を囲んで貰えるように、また自分とたわいもない会話をして貰えるように、すべてを慈しんでいけたらと思っているこの頃です。

 


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