土田浩翔オフィシャルウェブサイト

土田浩翔オフィシャルウェブサイト 麻雀の宇宙へようこそ

新着情報

ツイッター

2023年11月1日(水)~卓上から宇宙をみる~97

〔芸術の秋〕

いま新千歳空港にいます。
昨日の早朝便で晩秋の北海道に降り立ち、ひと仕事終えた安堵感のなか、岐路につくために札幌を少し早めに離れました。
現在時刻13時半。
早割りで取ったチケットの出発時刻は17時。
今日はなぜか羽田便が混み合っていて、いつもの13時~14時発はおろか、17時以降も空席がほとんどなく、珍しく余裕がある行動となりました。
札幌市内でランチをする手もありましたが、わざわざ誰かに連絡を入れてひとときを過ごせるようなタイプではなく、『そうだ、ちょっと早めに行って、美味しいラーメンでも食べて、アカデミーの原稿(東京と広島分)を書くことにしよう!』と、B型特有の思いついたら即行動パターンに入りました。

旭川の<梅光軒>は、私が旭川教室に行っていた時期、教室がちょうどお昼過ぎに終わることも手伝って、ちょくちょく本店に立ち寄って美味しい麺をいただいたものでした。
その<梅光軒>が空港内のレストランエリアにあるラーメンストリートに出店しているので(ストリートの入り口にあります)、味噌ラーメンの名店<けやき>への誘惑を断っていただいてきました。
ここはやはり醤油が美味しく、チャーシューを多めに、もやしと味玉もトッピングしてオーダーしました。
私の悪癖で、オーダーしたあとに目に止まった品を慌てて追加する習性に従って、5個入りの餃子もいただいちゃいました。
所要時間30分。
吹き出す汗を拭いながら、次なるお店<宮越屋珈琲店>へ。

それにしても旨かったなぁ。
<梅光軒>のチャーシューは脂身がほとんどなく、噛みしめれば嚙みしめるほどに味わい深くなる逸品です。
麺もシコシコした食感で、私好みにピッタリと嵌ります。
もちろん、これは個人の好み。
札幌にいた頃、よく東京や大阪から来られる方に、「どこのラーメンが美味しいの?」と訊かれたものでしたが、こればかりは答えようがありませんでした。
味が濃いのが好き、少し薄めが好き、熱々フゥフゥが好き、すぐにススれる熱さがいい、などなど。もうこれは個人の嗜好の問題で、他人が口を挟む余地などないのです。
宮越珈琲店は、流れてくる音楽が好き。
あと、店の色調も私好みなんです。
最近は東京にも多く出店しているようですが、居心地のよさは札幌が格別です。
さてと、原稿用紙を取り出し、何を書こうかなと考えながら先ほど購入した雑誌を何気なしにペラペラ捲っていると、私の目がある人に釘付けになりました。
チェロ奏者の藤原真理さん、(当時67才)。

私は人間観察が大好きで、電車の中や喫茶店、時にはレストランなどでも、つい見ず知らずの人を眺めては、いろいろな想像力を働かせる悪癖があります。
《人相》はその方の歴史だと思い込んでいる私は、このチェロ奏者の表情に惹きこまれてしまいました。
彼女の演奏を聴いたこともないのに(お名前だけは目にしたり耳にしたことはありましたが)、ページに現れた瞬間、魅了されてしまいました。

「七十歳くらいで、ベートーヴェンのチェロソナタの全曲演奏に挑みたい。ひと筋縄ではいかない作品です。」
「最良のかたちで自分のものにするために、どうしたら音の強さに表情を加えられるか。」
「不断に練習を重ね、さらなる高みにアプローチしたい。八十歳になってもチェロを弾いていたいですね」
というインタビューに答えられていました。

『どうしたら音の強さを表情に加えられるか』
この言葉に強く共感しました。

携わる麻雀を競技としてだけではなく、芸術・文化としての価値を高めていくためにも、『手牌に、そして河に表情を加えられるか』、私もアプローチし続けていきたいなと心に誓いました。

※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより


≫卓上から宇宙をみる一覧