2023年11月15日(水)~卓上から宇宙をみる~98
〔点数計算が何だい‼〕
点数計算が出来ないと、いつまでたっても半人前なのでは?そんなふうに考える愛好者は意外に多いのかもしれません。
とくに競技の世界に足を踏み入れると、点数計算が即座に出来る人が、おぼつかずにオドオドしながら申告する人を見下すような風潮すらあって、それって何か違うのでは?と思ってしまいます。
点数計算が素早く出来る人は、申告時にちょっとした優越感に浸れるくらいの余裕が持てて、オーラスが近づけば近づくほど、順位をアップさせるための算段も無駄がなく、かなり優位にゲームを進められることは間違いありません。
南3局を迎えて、トップの南家との差が1万4千点ほどの3番手で次のような手牌になったとき、どのような選択をすればいいのでしょうか。
ドラ
点数計算がよくわからない人は、1万4千点差を引っくり返すためには、少なくともマンガン、できることならハネ満をアガってオーラスを迎えようとします。
ですからこの手牌から、まず のトイツ落としをして、カン
を引き込み、
を入り目にした
待ちのマンガン確定リーチを思い浮かべます。
をトイツ落とししている最中に、ピンズが伸びて、
や
が引けたなら
ドラ
こんなリーチすら可能になるはずです。
すなわち、 のトイツ落としは、トップ逆転に向けて、当然の選択ということなのです。
一方、点数計算が出来る人は、トップ目がオーラスの親であることを踏まえれば、1万2千点差以内でオーラスが迎えられれば、マンガンツモで引っくり返ることを想定しながらこの局を考えます。
つまり、いま1万4千点ほどの差ですから、ツモが利かないようだったら、 をポンしていく手筋もアリと考えて、まずは
を打っておくことでしょう。
その後、ツモ と来てしまえば、メンタンピンドラ1の構想が崩れかかりますから、ムリして
のトイツ落としには向かわず、
を切って、
のポンテンがかけられるイーシャンテンにしておきます。
ドラ
イチ鳴きか2鳴きかは、他家の動向次第でいかようにも対応できる構えをとります。
もちろん、メンゼンのままテンパイが入れば即リーチ。
仮に
のリャンメンから埋まれば、
のロンで2600、
のロンで5200、
のツモで1000・2000、
のツモで2000・4000という得点は計算済みです。
(裏ドラは勘定に入れません)
望外のマンガンがツモれれば、オーラスでトップ目の親とはたった4千点差になり、700・1300をツモることが出来れば同点トップ、1000・2000のツモや5200以上の出アガリでトップ確定となるわけです。
こんなふうに書いてしまうと、「やっぱり点数計算が出来ないとかなり不利なのでは?」と思われるでしょうが、私はまるで逆のことをいつも考えています。
それは何かと云えば、点数計算が出来ると、どうしても点差やアガリ点の駆け引きに意識が持っていかれ、その結果、ゲーム巧者にはなるかもしれませんが、麻雀そのものは大して強くなっていかないような気がしてならないのです。
私は基本的に、麻雀教室でもそうですが、好まないかぎり、点数計算など覚えなくていいと本気で思っています。
とても無責任に聴こえてしまうかもしれませんが、点数計算はそれを得意とする人や、パパパッと出る人に任せておけばいいのです。
点数計算が出来ることと、麻雀能力には何の関係もなく、全く違う領域の話だと私は思っています。
暴論かもしれませんが、点数計算を覚えたがゆえに、麻雀そのもののスケールが小さくなる人のほうが多いような気がしてならないのです。
※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより
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