2022年8月1日(月)~卓上から宇宙をみる~67
~卓上から宇宙をみる~67
〔タンキの効用〕
ドラ
南1局西家の手牌です。
7巡目にこのイーシャンテンになり、いつもであれば、『ドラでも重なればいいのにな』とか『ピンズから埋まってソーズの3メン待ちになればいいのにな』とか、ワクワク感いっぱいのツモを楽しめるひとときになるはずでした。
ところがこの西家は、東場で勝負手を2度空振りしたばかりか、親マンをひとつ放銃し、親番ではハネ満をカブるという悲惨な状況に置かれていました。
この好形イーシャンテンを手にしても、西家は『選択の残るテンパイにならないで欲しいな』と不安な面持ちで城壁牌に手を伸ばしていました。
選択の残るテンパイとは、 や を引いて 待ちにするのか、タンヤオを確定させる や のノベタンまちにするのか、その選択権は西家の手に委ねられます。
また を先に引いても 待ちにするのか、 を切って 待ちの変則待ちにするのか、これも選択権は西家に委ねられることになります。
ですから、西家が望んでいたツモは、雀頭が確定し待ちが自動的に定まる 、もしくは だったのです。
9巡目、西家が引いてきた牌は 。
『やっぱりこれか・・・』
状況の酷さから覚悟はしていたものの、選択の残るテンパイの中でも安めとなる、タンヤオが崩れる 引き。
なんでもない状況であれば、安めを否定してツモ切りし、イーシャンテンに戻してしまう手もありましたが、そんな悠長な手順は許されるはずもありませんでした。
ツモ ドラ
9巡目、西家は を横に曲げました。
え!いくら選択権が西家にあるとはいえ、あまりに無茶なタンキ選択リーチ。
同巡、トップ目の親が安全牌の を切って追いかけてきました。
万事休す。
誰もが目を覆った2巡後、西家は をツモり上げていました。
噓でしょ⁉
自信ありげに追いかけてきた親の手牌はこの形でした。
これは偶然なのか必然なのか。
でもひとつだけ真理があるとすれば、《タンキ和了は運気を変える力がある》で、経験的に知っている人もいますが、リャンメンや3メンに受けられるテンパイをタンキ待ちリーチでかけるのはとても勇気がいる決断となるのです。
ツモ ドラ
調子が悪いときにこんな仕掛けをしていたとします。(南1局 西家 8巡目)
こんなとき、あわよくば混一色へ・・・などと色気を持つかは別として、 がドラということもあって、まさか、 を切っての タンキ、あるいは を切っての に受ける打ち手はほとんどいません。
でも調子が落ちているときほど、このドラ筋リャンメンが硬直した待ちになりやすく、ほどなくかかってくるリーチ攻勢に耐え切れなくなるのです。
わかってはいるものの・・・という声がたくさん挙がってくることは容易に想像がつきますが、《タンキ和了は運気を変える力がある》を信じて、そんな選択をしてみるのも一興だと思います。
※本文は東京麻雀アカデミー(雀友俱楽部)テキストより
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